雑草転生LEVEL X

第二話

 

目の前に突然虫が現れた。
顔だけアップで、何の虫か分からない。
多分、甲虫だということは分かる。
あ~、自分も虫に転生出来てたら動けたのにな~と思った瞬間、視界が変わった。
今まで虫を見ていたのに、草が見えてる。
何故?
視線を動かしてみたら、何と首?も動いて視界が広がった。
今までは目を動かして見える範囲しか見えなかったのに、今では周囲がよく見える。
何が起こった?と考えるが分からない。
で、周囲を色々と見てたら何と俺は虫になったことを知った。
今まで全く身動き出来なかったので、これは喜ぶべきことだ。
ちょっと動いてみて、飛ぼうと思ったら飛べた。
俺、何ていう虫かな?と思ったが、確認は出来ない。
虫には全然詳しくないし。
で、この虫って何を食うんだ?と思ったんだが、特に腹は減ってないので気にしないようにした。

天敵に襲われることもなく、生き延びている。
あれから何日経ったのだろうか。
結局、何も食っていないのだが、何故か腹が減って困ってはいない。
なんでだろう?と考えてみるが、答えは出ない。
何もすることが無いので、ここはじっくり考えてみた。
そういえば草だった頃は何も食わなくても平気だったな、と。
その時は光合成で光が当たれば体に栄養が補給されるんだったな。
で、今はというと、光は当たってるな。
これってもしかして今も光合成してるんじゃ?と。
どうなのかは、もう少し様子を見ることにした。

で、多分2週間くらい過ぎた頃。
やっぱり何も食ってないが、全然平気だ。
これはやっぱり光合成してるのではないかと、少し確信を持った。
俺は雑草に転生し、次に虫に転生した。
で、雑草の能力?を受け継いだんだと。
何故虫に転生したのかを考えてみた。
もしかして、この虫に触れたからなんじゃないか?
それだったらこの先、人間に転生出来るんじゃないか?
もう、感動に打ち震えた。
やっと人間に戻れると。
が、人間の選択をきちんとしないと後悔するな。
まあダメだったら別の人間に…

ここで気が付いた。
転生するってことは、体が変わるということ。
もし、今の俺が人間に転生すると、その人は虫になってしまう。
その人を絶望させてしまうことになる。
これはダメだ。
これは考えないといけないな。
まあ、ゆっくり考えることにしよう。