雑草転生LEVEL X 3.

第三話

虫になって、どれくらい経ったのだろう。
気付いたことがあるが、虫って視力悪いというか、悪過ぎる。
けど、全然困っていない。
視界がすごく広くてよく見えている。
それと、蜂?みたいなのが飛んでいたんだが、その羽の動きがしっかり見えた。
これにはビックリした。
何これ?
動体視力がものすごくいいのかな?
それと、歩くと結構速く動ける。
全然疲れないし。
目の前にでかい石があって邪魔だったんだけど、軽々とどかせた。
何この力?
虫って力持ちなのかな?
まあ快適といえばそうだけど、いい加減虫の姿でいるのが嫌になってきた。
そして、何も考えずに木に登ってボーっとしていた。

そうしていたら、突然胴体が何か挟まれたような感覚があった。
何事かと上を見たら、何と鳥が俺を咥えて、いや、食おうとしているではないか。
突然のことで、慌ててどうしようか分からなくなった。
これはヤバいと思ったが、逆に冷静になれた。
あ、転生すればいいじゃん、と、意識を集中させた。
すると、景色が変わった。
何か、首がよく動く。
あ、と気が付いたら、咥えていた虫を落としたらしい。
どんな虫だったか、下に降りてみた。
あ、これ見たことある。
以前、検索して偶然見たことがある虫だ。
これって、ゴミムシかな?と。
このゴミムシ、まだ元気でどこかへ行ってしまった。
鳥よすまん。

これからは、鳥として生きていくことになった。
羽ばたいて、上昇してみた。
何処までも続く森で、街とかは見えない。
人なんかいないな。
人間になれる日は来るのか?
って、人は存在するのか?
ちょっと不安になってきた。