雑草転生LEVEL X 第六話

レスフィナが見た馬車は、巫女をさらうために城に向かっているところだった。
城は今、王亡き後大混乱に見舞われていた。
つまり、王が死んだのだ。
その混乱に乗じてさらうということだ。

王都は、集落から半日ほど歩いた場所にある。
王を殺したのはレスフィナ姫とされていた。
病に侵されていた王に手を差し伸べたレスフィナ姫。
その直後に王は死んだのである。
レスフィナ姫は恐ろしい能力の持ち主だと、すぐさま捕らえられ投獄されていた。
そして、あの男達がやってきたのだった。
男達は牢を開け、レスフィナ姫をさらって行ったのだった。

王は、レスフィナ姫の祖父であった。
レスフィナ姫の両親は既にいない。
レスフィナ姫が幼い頃に死んでいたのだ。
正確には、殺されていた。
レスフィナ姫の目の前で殺されていたのだ。

レスフィナ姫は、王である祖父を父のように慕っていた。
そんなレスフィナ姫が王を殺すなど有り得ないと誰もが思っていたが、次期王になるために殺したのでは、と言われるようになった。

現在のレスフィナは入れ替わって違う人間なのだが、まだ誰とも出会っていない。
そんなレスフィナは、最悪の出会いを果たすことになる。


私は記憶を頼りに、ある倉庫にたどり着いた。
そして、ゆっくりと扉を開いて中を覗いてみた。
中には男達が数人。
突然、後ろから、「レスフィナがいたぞ!」と声がした。
びっくりして後ろを振り返ると、男に羽交い絞めにされた。
私は特に気にもせず、あっさり掴まった。
「お前、どうやってここから逃げたんだ!」と男が叫んだ。
私は理解した。
ああ、ここから死に物狂いで逃げて、あの橋まで行ったんだな、と。
まあこいつらがまともな奴らではないと分かった。
少し様子をみることにした。

暗くなって、馬車が止まる音が聞こえた。
何やら、ぞろぞろと女の人達が連行されてきた。
変わった服だなと思ったが、そこで声が聞こえた。
「すみません、8人しか巫女がいなかったので、10人揃えることが出来ませんでした。」と。
リーダーの男が、「ああ、レスフィナを再び捕らえたから問題無い。」と言った。
「これで魔王様もお喜びになるだろう」

えっ!? 私達、魔王の生贄になるの?
だから彼女(自分のことだけど)は死ぬ決断をしたんだな。
巫女も同じことになるだろう。
これは絶対に阻止しなければいけない、と決意した。

 

雑草転生LEVEL X (つぶやきの章)

初めまして、ステア・リンクです。

えーと、小説を書くのは初めてだったりします。

何で書こうと思ったかは、考えているネタがあったからです。

まあ、ちょっと書いてみようかな、という軽い気持ちからです。

素人なんで、メチャクチャな所もあると思いますが、ご容赦を。

書き始めたはいいが、この後どうなるか全く考えていません。

書いていると、最初に考えていたものと違ってきたりします。

何か、勝手に物語が進んでいってるような。

ラストがどうなるか、全く分かりません。

 

多分、読んでいる人はいないと思いますが、自分が楽しいから書こうと思っています。

 

実は他にも脳内アニメ企画というものがあります。

「機動学園」というものです。

これは書く予定はありません。

まだ部分部分だけしか見えてないからです。

ラストシーンは、ちゃんと頭の中にあります。

雑草転生LEVEL X 第五話

レスフィナって、何かお姫様みたいな名前だなと思ったけど、まあいいかと特に気にはしなかった。
けど、衣服がボロボロで、体も傷だらけ。
一体何があったんだろう?

集落の方角はこの人の記憶に残っていたようで、そちらへ向けて歩き出した。
実際走れるんだけど、走ったらとんでもないことになりそうなので、人目もあるので歩くことにした。
って、遠いじゃないの!
もう何日歩いているんだろう。
ここで気が付いた。
夜だったら走ってもいいんじゃないの、と。
昼間の光合成でエネルギーチャージは出来たと思うので、夜になったので走ることにした。
で、走ってみた。
え、これ人間が走る速度じゃないでしょ、というくらい速かった。
でも、この人の筋力ではもたないと思ったので、途中で止めて一休み。
そこで朝まで寝ることにした。
元植物だったから特に寝なくても大丈夫だけど、とにかく体を休めておくことに。
朝目覚めて、また歩き出した。
何か、光合成って気持ちいいな。
日光に当たると、皮膚上から栄養を吸収してるような感じがする。
雑草だった頃は絶望に似た感じだったけど、今なら良かったと思える。

それから一日歩いて、夕方間近に集落が見えてきた。
けど、本当に集落。
これっていつの時代なの?
電線も無いし、馬車が通り過ぎて行った。
ここって、剣と魔法の世界じゃないの?
まあ、まだ分からないけど。
そして、集落に入って行った。


おい、レスフィナ姫は見つかったか?
そこにある倉庫から、男の声が聞こえた。
いや、5日探してもいなかったぞ。もう死んでるんじゃないか?
生贄にされるんじゃ、そりゃ死にたくもなるわな。
別の男が言った。
レスフィナ姫の代わりは、巫女が10人必要だ。またさらって来い!
リーダーらしき男が部下に命じた。

レスフィナ姫は特殊な力を持っているから、普通の人間では生贄には足りない。
あの能力は異常過ぎる。
あんな女は生贄にするしかない。
座っていた男が呟いた。
触れただけで人を殺すなど…

雑草転生LEVEL X 第四話

鳥になれてラッキー!
これで広範囲を探索して人間を探すことが出来る。

けど、いくら飛んで探しても全然見付からないな。
やっぱり人間は存在していないのか?
これでは転生した意味が無いだろ。
見る限り、どこまでも続きそうな森。
集落なんか全然無い。
上空ばかり飛んでいたので、今度は下から見てみることにした。
そして見付けた。
あれは橋じゃないか!
こんなの作れるのは人間しかいないじゃないか。
もう、喜びに打ち震えた。
が、ちょっと嫌な思いがした。
それは、文明が滅んだ後の遺物じゃないか、と。
でも見る限り朽ちた感じがしないので、それは無いな。

これを見付けたのは、かなりの距離から。
鳥って視力がいいな。
視力は4.0いや、それ以上か?
で、その橋に立っている人がいた。
おー!やっと人間見付けた。
女の人のようだ。
だが、様子がおかしい。
橋の欄干に足を…
危ない!と、俺は急いで飛んで行く。
これ、鳥が飛ぶ速度じゃないだろ、というくらい速く飛んだ。
落ちそう、となった瞬間、女の肩に止まって「転生!」と強く念じた。
そして転生したんだが、落ち…
咄嗟に掴まったんだが、右手だけ。
これヤバいんじゃないの?と思ったが、片手で体を楽に持ち上げられた。
左手でも掴んで上がろうと思ったら何と、ヒョイッと橋に着地した。
こんなのオリンピック選手並みだろ。
何この力?
これは虫の力の継承か。

さて、これからどうするかと思ってたら、何とこの女性の名前が表示された。
今まではこんなこと無かったのに、人間になったらステータス?が表示された。

そうしていたら、さっきまで自分の体であった鳥が周りで羽ばたいていた。
向こうもいきなりのことでショックを受けているのだろう。
でも、死のうとしていて新たな生を受けて良かったのでは、と思いたい。
そのうち飛び立って行った。
新たな人生?を生きてくれ。


で、私の名前は何?
え、えぇっ?!
今まで一人称は「俺」だったのに、何故か「私」に変わってる。
女性の体を得て、自動変換されたの?
まあ、それでもいいかなと、名前を確認してみた。
名前は、「レスフィナ」だった。

雑草転生LEVEL X 3.

第三話

虫になって、どれくらい経ったのだろう。
気付いたことがあるが、虫って視力悪いというか、悪過ぎる。
けど、全然困っていない。
視界がすごく広くてよく見えている。
それと、蜂?みたいなのが飛んでいたんだが、その羽の動きがしっかり見えた。
これにはビックリした。
何これ?
動体視力がものすごくいいのかな?
それと、歩くと結構速く動ける。
全然疲れないし。
目の前にでかい石があって邪魔だったんだけど、軽々とどかせた。
何この力?
虫って力持ちなのかな?
まあ快適といえばそうだけど、いい加減虫の姿でいるのが嫌になってきた。
そして、何も考えずに木に登ってボーっとしていた。

そうしていたら、突然胴体が何か挟まれたような感覚があった。
何事かと上を見たら、何と鳥が俺を咥えて、いや、食おうとしているではないか。
突然のことで、慌ててどうしようか分からなくなった。
これはヤバいと思ったが、逆に冷静になれた。
あ、転生すればいいじゃん、と、意識を集中させた。
すると、景色が変わった。
何か、首がよく動く。
あ、と気が付いたら、咥えていた虫を落としたらしい。
どんな虫だったか、下に降りてみた。
あ、これ見たことある。
以前、検索して偶然見たことがある虫だ。
これって、ゴミムシかな?と。
このゴミムシ、まだ元気でどこかへ行ってしまった。
鳥よすまん。

これからは、鳥として生きていくことになった。
羽ばたいて、上昇してみた。
何処までも続く森で、街とかは見えない。
人なんかいないな。
人間になれる日は来るのか?
って、人は存在するのか?
ちょっと不安になってきた。

雑草転生LEVEL X

第二話

 

目の前に突然虫が現れた。
顔だけアップで、何の虫か分からない。
多分、甲虫だということは分かる。
あ~、自分も虫に転生出来てたら動けたのにな~と思った瞬間、視界が変わった。
今まで虫を見ていたのに、草が見えてる。
何故?
視線を動かしてみたら、何と首?も動いて視界が広がった。
今までは目を動かして見える範囲しか見えなかったのに、今では周囲がよく見える。
何が起こった?と考えるが分からない。
で、周囲を色々と見てたら何と俺は虫になったことを知った。
今まで全く身動き出来なかったので、これは喜ぶべきことだ。
ちょっと動いてみて、飛ぼうと思ったら飛べた。
俺、何ていう虫かな?と思ったが、確認は出来ない。
虫には全然詳しくないし。
で、この虫って何を食うんだ?と思ったんだが、特に腹は減ってないので気にしないようにした。

天敵に襲われることもなく、生き延びている。
あれから何日経ったのだろうか。
結局、何も食っていないのだが、何故か腹が減って困ってはいない。
なんでだろう?と考えてみるが、答えは出ない。
何もすることが無いので、ここはじっくり考えてみた。
そういえば草だった頃は何も食わなくても平気だったな、と。
その時は光合成で光が当たれば体に栄養が補給されるんだったな。
で、今はというと、光は当たってるな。
これってもしかして今も光合成してるんじゃ?と。
どうなのかは、もう少し様子を見ることにした。

で、多分2週間くらい過ぎた頃。
やっぱり何も食ってないが、全然平気だ。
これはやっぱり光合成してるのではないかと、少し確信を持った。
俺は雑草に転生し、次に虫に転生した。
で、雑草の能力?を受け継いだんだと。
何故虫に転生したのかを考えてみた。
もしかして、この虫に触れたからなんじゃないか?
それだったらこの先、人間に転生出来るんじゃないか?
もう、感動に打ち震えた。
やっと人間に戻れると。
が、人間の選択をきちんとしないと後悔するな。
まあダメだったら別の人間に…

ここで気が付いた。
転生するってことは、体が変わるということ。
もし、今の俺が人間に転生すると、その人は虫になってしまう。
その人を絶望させてしまうことになる。
これはダメだ。
これは考えないといけないな。
まあ、ゆっくり考えることにしよう。

雑草転生LEVEL X

第一話

 

俺は死んだ、らしい。
繁華街を歩いていると、突然頭に衝撃があった。
目の前が一瞬真っ白になったかと思ったら、暗黒の闇に閉ざされた。
この時、何があったのかは考えないでおこう。
そして、今に至る。

が、何故意識がある?
これって、もしかして異世界転生になるやつ?と期待してみた。
しかし、女神様なんか一向に現れず暗闇のまま。
どうなってんの?と誰かに聞きたいが、相変わらず暗闇の中。

それからどれくらい経ったのだろう。
周りの景色が見えるようになり、音も聴こえてきた。
やった!転生したんだ!と喜んだのだが、何かがおかしい。
目線がやたら低くて、風?に流されているのか視界が揺れている。
そして周りを見ると雑草ばかり。
俺が転生したのは人間ではないと理解したが、何に転生したのか分からない。
周りを見てもやっぱり雑草ばかりで、それしか見えない。
下を見て気が付いた。
俺、雑草じゃん!
何てこった…
そして気が付いた。
雑草なのに、何故見えて音が聴こえる?
何で?
まあいいか、と、深く考えるのは止めた。

雑草だから、全くなにも出来ない。
よくある異世界ものでは、声が聴こえたりステータスが見えたりするんだが、
そんなものは全く無い。
俺、何で雑草なんかに転生?
一体誰が雑草に転生させたんだ?
何故に?
考えても仕方ないので、もう考えるのは止め!
けど雑草って何年生きるの?って、一年くらいか?
俺の人生、いや、草生詰んだな。
諦めるしかないか…

草は光合成だから、何も食わなくても平気。
あれから何日経ったのだろう。
そして、それは突然現れた。
眼前に、巨大な物体が!
虫だ!